イスラエル、中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行へ

根津栄作
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イスラエル国旗と銀行

イスラエル中央銀行は3月11日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の運用計画を発表した。報告書は利便性の高さや経済効果を強調。個人情報漏洩に対して懸念が寄せられるなか、通貨モデルの改革が急がれる。

日本でも検討進むCBDC


イスラエルの通貨単位は新シェケル。新たに発行予定のCBDCは、デジタル・シェケル(Digital Shekel)と呼ばれている。銀行送金や代金の支払いが年中無休で行えるなど、従来型通貨にない利点がある。デジタル通貨であり、暗号資産(仮想通貨)とも共通点が多い。

2024年12月までに詳細な運用モデルを示すとした。個人情報の観点から懸念も示されており、イスラエル中央銀行は懸念払拭に躍起だ。

ユーザーの取引残高や個人情報が損なわれることはないとしたが、設計上は中央銀行がユーザーデータを一括管理する仕組み。言論不一致という意見もあるが、CBDC導入は避けて通れない潮流でもある。

CBDCの位置付け(出典:日本銀行)

CBDCの種類(日本銀行)

CBDCは、各国が検討を進める次世代の通貨流通モデル。日本でも検討が進んでおり、主に企業を中心とした試験運用が行われている。法整備など課題は残るが、本格導入は時間の問題だ。

中国など、給付金制度を用いて認知と普及を図る国もある。地方で得られたデータを都市運用に活かすアプローチは、各国のCBDC試用に共通して言える特徴。イスラエルも、他国の試用モデルを参考にデータを収集すると思われる。

イスラエルのCBDC構想は、2021年に発案された。3年経った今も試験運用に至っておらず、同国の慎重な姿勢が伺える。