仮想通貨ハブ構想の香港、銀行サービス不足が課題に
香港立法会のジョニー・ン議員は8日、香港政府と銀行業界に対し、暗号資産(仮想通貨)企業の銀行サービス利用制限緩和を要請した。この動きは、仮想通貨企業の事業展開に必要不可欠な銀行口座開設が困難な状況を改善する狙いがある。
仮想通貨企業の銀行口座開設、80%が難航
ジョニー議員のチームが実施した調査によると、2022年以降に香港に進出した120社以上の仮想通貨・Web3企業のうち、95%が地元銀行口座の開設を試みた。
しかし、2〜5カ月以内に成功したのはわずか20%にとどまった。54%の企業は6カ月以上を要し、多くの銀行が株主や役員に複数回の香港訪問を求めるなど、厳しい条件を課していることが明らかになった。
規制強化と現実のギャップ
香港政府は暗号資産(仮想通貨)のグローバルハブを目指し、ライセンス制度の導入や小売り向け取引サービスの許可など、規制整備を進めている。
しかし、ダンカン・チウ議員らは、厳格すぎる規制が大手取引所の参入を妨げているとの懸念を示している。2024年2月29日には仮想資産取引プラットフォーム(VATP)のライセンス申請締め切りを迎え、22社が申請した。
しかし、3月から5月にかけて、HKVAEX、IBTCEX、QuanXLab、Huobi HK、Gate.HK、OKX HK、Bybitなど、複数の取引所が申請を取り下げる事態も発生した。
香港の仮想通貨産業の展望
香港政府は6月、カナダのトロントで開催されたテクノロジーカンファレンス「Collision 2024」に参加。カナダの仮想通貨・Web3スタートアップに向けて、香港のオフショア技術ハブとしての魅力をアピールした。
また、分散型金融(DeFi)やメタバース技術にも注目し、グローバルなフィンテック分野での地位強化を図っている。
仮想通貨産業の発展を目指す香港だが、銀行サービスへのアクセス改善が近々の課題となっている。規制環境の整備と実務面での障壁解消のバランスが、今後の香港の仮想通貨ハブとしての成功を左右する可能性が高い。
個人投資家にとっては、香港の規制動向と銀行サービスの改善状況を注視することが重要だ。仮想通貨取引所の選択や投資判断の際には、これらの要因も考慮に入れる必要がある。