ビットコイン、取引量が急増|恐怖指数は過去最高水準に
暗号資産(仮想通貨)取引所のビットコイン(BTC)取引量が6日、市場の混乱の中で過去最高水準に到達した。5日に仮想通貨市場は大幅な下落に見舞われ、主要通貨の価格下落により6億ドル(約870億円)以上のレバレッジロングポジションが清算された。
この結果、ビットコイン恐怖・強欲指数は17ポイントまで落ち込み、2022年7月以来の最低水準を記録。市場は「極度の恐怖」状態に陥った。
米国経済データと中東情勢が仮想通貨価格に影響
最近の仮想通貨市場の下落は、主に米国の景気後退懸念が原因となっている。先週発表された雇用統計では、失業率が4.30%と前月の4.10%から上昇し、2021年11月以来の高水準となった。また、時間当たりの賃金上昇率は予想を下回る0.2%にとどまった。
これらの経済指標に加え、中東情勢の緊迫化も市場の不確実性を高めている。イランとヒズボラによるイスラエルへの潜在的な攻撃の可能性が指摘され、バイデン米大統領は国家安全保障会議と協議を行っている。
ビットコインETFの資金流出、イーサリアムETFは好調維持
経済への懸念が高まる中、ビットコイン上場投資信託(ETF)も影響を受け、8月5日には1億6800万ドル(約243億円)の資金流出を記録した。グレイスケール・ビットコイン・トラストとARK 21シェアーズ・ビットコインETFが主な流出元となり、それぞれ約6900万ドル(約100億円)の資金が引き出された。
一方で、イーサリアム(ETH)のスポットETFは好調を維持し、4880万ドル(約71億円)の純流入を記録した。ブラックロックのiShares Bitcoin Trustが4710万ドル(約68億円)の流入で首位となった。
この対照的な状況は、投資家の間で意見が分かれていることを示している。一部の投資家は損失を最小限に抑えるために保有資産を売却する一方で、他の投資家は逆に投資を増やしている。
ビットコインの取引量は8月6日に当時の相場で11億4000万ドル(約1653億円)を超え、第4次半減期後の最高水準に達した。一部の投資家は5万ドル台の割安なBTCを購入する機会と捉えている。
今後の市場動向を左右する要因として、米国の経済指標、中東情勢の展開、そしてETFへの資金流出入の動きが注目される。
個人投資家にとっては、これらのグローバルな動向を注視しつつ、自身のリスク許容度に応じた投資戦略を立てることが重要だ。市場の変動が激しい時期こそ、長期的な視点を持ち、分散投資の重要性を再確認する好機と言えるだろう。