Ledger Nano S レビュー(2024年)。古いけれど、値千金?
140万台以上が販売されているベストセラーの暗号通貨ハードウェアウォレット「Ledger Nano S」をレビューします。信頼性の高い暗号化とセキュリティメカニズムを備えながら、競合製品に比べて手頃な価格が魅力。約59ドルで買えてしまいます。
発売元のLedgerは、2019年にLedger Nano XというLedger Nano Sの改良版製品をリリースしています。そのため、旧端末である Ledger Nano S は、今使っても問題ない性能なのかどうかを疑問に思っている人もいるでしょう。
そんな方は、ぜひこのレビューを読んでみてください。 ハードウェアウォレット「Ledger Nano S」は、今でも十分に安全なコールドストレージソリューションです。2~3種の暗号通貨を管理するための、手頃な価格のウォレットを探している初心者トレーダー(と長期ホルダー)には最適なデバイスです。
開封
ビデオ内に出てくる通り、Ledger Nano Sのパッケージには以下のものが含まれています。
- Ledger Nano S 本体
- USB接続ケーブル
- キーホルダー、キーレース、キーホルダー
- ブランクシード回収シート3枚
サポートする暗号通貨の種類
Ledger が販売する製品は、ハードウェアウォレットの中でもサポートする暗号通貨の種類が最も多いことで知られています。Ledger Nano Sも例外ではなく、以下のコインを含む1100種以上のデジタル資産をサポートしています。
Ledger Nano S でサポートされている資産の多くは、KeepKey や Trezor などの他社製のハードウェアウォレットではサポートされていません。
Ledger Nano S の最大の欠点は、サポートする暗号通貨の種類は多さに反して容量が小さいことです。暗号通貨ごとに対応したアプリをインストールする必要があるのですが、3~5種類のアプリを入れれば容量が足りなくなってしまいます。少数の決まった通貨だけを保管する目的であれば、よいウォレットだと言えます。しかし、多種のアルトコインを含むポートフォリオ全体を、これだけで保存するのは非現実的です。 回避策もあるにはあります。1度ウォレットアプリをインストールして、コインを保存してからアンインストールするのです。そんなことして大丈夫なのかと思われるかもしれませんが、秘密鍵はちゃんとデバイスに残るのでご安心ください。 アプリを削除することで、容量ができます。ただし、そのコインを動かしたいときは、アプリを再インストールする必要があるので、不便ではあります。 後継機であるLedger Nano Xは完全にこの問題を解決し、より多くの暗号通貨を管理できるだけの容量を備えています。多くの通貨を保管したい方は、そちらを選ぶと良いでしょう。 ここまでで分かったかもしれませんが、Ledger Nano Sは、限られた数種のコインだけを扱う方向けの製品です。多様なポートフォリオを持つ暗号通貨マニアにとっては、モノ足りないデバイスです。 とはいえ、内部容量が限られていることは利点にもなります。それは、複数のコールドウォレットに分けて資産管理せざるを得ないため、盗難のリスクが軽減されることです。
セキュリティ性能
ハードウェアウォレットは、財産を保管する銀行の貸金庫のようなものです。資産を守るための方法として有効だと言われているのが、高度な暗号化を施すことです。 Ledgerのデバイスは、セキュリティ面で高い信頼と評判を得ています。たとえPCのセキュリティが破られたとしても、Ledger Nano S はデジタル資産を保存しておきます。Ledgerは、ST31H320と呼ばれる秘密鍵を保護する防壁と、 STM32F042と呼ばれるトランザクション処理を行うOSの2層に分かれています。
さらに、Nano Ledger S はウォレットへのアクセス用のパスフレーズと、デバイスのロックを解除するための PIN コードを別々に設定でき、その点でも厳重であると言えます。2016年の発売からしばらく経った今でも、 Nano Ledger S がハッキング被害にあったという報告はありません。 このセキュリティ性能をムダにしないためにも、ユーザーはシードフレーズをオフラインに保存して、誰も覗き見ることができないように隠しておくことが重要です。オンラインに保存してしまうと、資産を奪われるリスクが増します。シードフレーズの保存方法として最も安全なのは、CryptoTagのような専用デバイスを使用することです。 ハードウェアデバイスが壊れたり紛失したりしても、シードフレーズがあればすぐに復元することができます。シードフレーズからデバイスを復元する方法については、以下の動画をご覧ください。
デバイス設計
Ledger Nano S には、便利で使いやすいインターフェイスが付属しています。デバイスには、画面と2つのナビゲーションボタンがあります。ボタンを操作することで、メニューにアクセスしたり、PINコードを入力したり、アプリを選択したり、リカバリーフレーズを入力したりできます。2つのボタンは、PINのとシードフレーズを入力するには少し面倒ですが、Ledger OSはデバイスをセットアップする際に丁寧にガイドしてくれます。画面とLedger Live(Ledgerデバイス用デスクトップアプリ)のメッセージに従うだけで設定が完了します。
また、同梱のマイクロUSBケーブルを使用してPCにLedger Nano Sを接続することもできます。 強いて言えば、取引する際に小さいスクリーン上で長いアドレスを確認するのは少し不便ですが、慣れてしまえばそれほどでもありません。 小さな容量と小さな画面は、多少不便なところはあるもののハッカーに付け入る隙を与えないためでもあります。こうした考えは多くのトレーダーにも理解されていて、デザインとセキュリティは概ね賞賛されてます。
ウォレットの価格比較
サイバーセキュリティについて相当な知識を持った人以外は、暗号通貨の取引をするにあたって、コールドウォレットか、暗号化されたハードウェアウォレットが不可欠です。暗号通貨の歴史はまだ浅いですが、その短い歴史のなかでも、サードパーティのサービスプロバイダーを完全に信頼してはいけないことが証明されてしまっています。彼らは銀行ではないので、トラブルがあったとしても、払い戻しがあるとは限りません。 2020年現在、Ledger Nano S は、最も手頃な価格で手に入るハードウェアウォレットの一つです。以下は、特に人気のあるハードウェアウォレットの比較表です。
デバイス名 | 価格 | 発売時期 | サポートする暗号通貨の種類 |
---|---|---|---|
Ledger Nano S | $59 | 2016 | 1100種以上 |
Ledger Nano X | $119 | 2019 | 1100種以上 |
Trezor One | $78 | 2014 | 1000種以上 |
Trezor Model T | $170 | 2018 | 1000種以上 |
KeepKey | $79 | 2015 | 40種 |
結論
Ledger Nano S はここまでのレビューにある通り、シンプルで安全なデバイスです。低価格にもかかわらず、最も安全なハードウェアウォレットの1つに数えられているのは、余分な機能を搭載していないためです。シンプルであるがゆえに、Ledger Nano S は、手頃で、使いやすく、安全なウォレットなのです。
Ledger Nano S の設定方法
最後にLedger Nano S のセットアップ手順について紹介します。
- Ledger Nano S をPCに接続し、電源を入れる:箱に入っている付属の micro-USB ケーブルを使用して安全に接続します。
- PIN コードをセットアップする:デバイスの画面が点灯し、新しいデバイスとして設定するかどうかを確認してきます。上部のボタンを押して確認し、4~7桁のPINコードを設定します。番号を選択するたびに、両方のボタンを一度に押して確定しましょう。デバイスを使用するたびにコードを入力する必要があるので、メモしておくか、暗記しておきましょう。
- リカバリー(シード)のフレーズを記録する:ディスプレイに24個の英単語が次々と表示されます。それらをメモしていきましょう(オフラインの場所に記録するのが安全です)。箱に入っているデバイスに付属のリカバリーフレーズシートを使用すると便利です。24個表示し終えると、再表示が可能になるので、すべての単語が正しく記録されていることを確認してください。回復シードを紛失した場合、資金を回復できなくなってしまうので、注意してください。回復シードを記録しておくのに便利なCryptotagのようなデバイスを使うのもよいでしょう。
- シードフレーズを確認する:次の画面でシードフレーズからランダムに2つの単語を確認します。例えば、12 番と 17 番の単語を選べと指示されます。ランダムな単語が表示されますので、その中から回復シードの12番目と17番目の単語を選択し、確認を押してください。
- PCにLedger Live アプリをインストールする: Ledger Liveは、ハードウェアウォレットのコンパニオンアプリです。Ledgerのサイトから直接ダウンロードしてください。必要であれば、スマホにもLedger Liveをインストールしましょう。
- Ledger Liveを設定し、コインのウォレットアプリをインストールする:画面の指示に従ってパスワード(なるべく強力なもの)を設定し、NanoSで管理したい暗号通貨のアプリをインストールします。
- ウォレットを作成してコインを送る:画面上の指示に従って、コインのウォレットアドレスを作成し、そこにコインを送ります。以上で操作は完了し、安全で便利なコールドウォレットが使えます。
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